引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





珍しく拓が、女子に向かって本気で怒ってる。





このままヒートアップしたら、街を歩く人にも迷惑かかるかもしれない。





そう思って私は恐る恐る拓に提案した。






「ねえ、とりあえずホテルに戻ろうよ。こんな状態で自由行動はさすがに続けられないよ…」



「あっ、わりい柚。ちょっと怖かったよな?でももしかしたら、俺が戻ったら俺が怒られる…?俺、班で行動してなかったし」



「あ、そっか。どうしよう…」



「……いーや。怒られる覚悟できた。それよりもコイツらのことチクる方が先」



「拓……」






拓が自分のことよりも、私と蘇我さんのことを優先的に考えてくれたのが嬉しかった。





私も…、拓にそこまでの覚悟があるなら、一緒に怒られる覚悟を持とう。





拓だけ怒られるのを黙って見てることはできないよ。






「蘇我さん…、歩ける?これ、絆創膏…貼るね」



「ありがと……杉田さん」






私は蘇我さんを道の端っこに座らせて、頬とひざに持っていた絆創膏を貼ってあげた。





蘇我さんの表情はまだ硬かったけど、少し泣きそうになっているみたいだった。





…やっぱり、蘇我さんも怖かったんだ……。





< 94 / 281 >

この作品をシェア

pagetop