引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
珍しく拓が、女子に向かって本気で怒ってる。
このままヒートアップしたら、街を歩く人にも迷惑かかるかもしれない。
そう思って私は恐る恐る拓に提案した。
「ねえ、とりあえずホテルに戻ろうよ。こんな状態で自由行動はさすがに続けられないよ…」
「あっ、わりい柚。ちょっと怖かったよな?でももしかしたら、俺が戻ったら俺が怒られる…?俺、班で行動してなかったし」
「あ、そっか。どうしよう…」
「……いーや。怒られる覚悟できた。それよりもコイツらのことチクる方が先」
「拓……」
拓が自分のことよりも、私と蘇我さんのことを優先的に考えてくれたのが嬉しかった。
私も…、拓にそこまでの覚悟があるなら、一緒に怒られる覚悟を持とう。
拓だけ怒られるのを黙って見てることはできないよ。
「蘇我さん…、歩ける?これ、絆創膏…貼るね」
「ありがと……杉田さん」
私は蘇我さんを道の端っこに座らせて、頬とひざに持っていた絆創膏を貼ってあげた。
蘇我さんの表情はまだ硬かったけど、少し泣きそうになっているみたいだった。
…やっぱり、蘇我さんも怖かったんだ……。