引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
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ホテル内の保健の先生の部屋の前に着き、私はゆっくりとチャイムを鳴らした。
少ししてドアが開き、保健の先生が出てきた。
「杉田さん。しなくていいって言われたのに、正座してたんですって?」
「あ…、はい。でも武田先生がもういいって…。あの、蘇我さんはどうですか?」
「まだいるわよ。ちょうどカウンセリングも終わったところだし、入る?お茶でも淹れるわよ」
「すみません、ありがとうございます」
先生はドアを大きく開けてくれて、私は促されるように部屋の中に入った。
そこに、窓際の椅子に座る蘇我さんの姿が見えた。
「あれ?杉田さん…?」
「蘇我さんの様子が気になって、来ちゃった」
「私は大丈夫。一応ささやかだけどあの二人に抵抗できたし、何かスッキリしてる」
そう言って、蘇我さんは静かに笑ってくれた。
私も蘇我さんの隣に置いてあった椅子に腰かけると、保健の先生が紅茶をテーブルに置いてくれた。
「備え付けのインスタントで悪いわね。砂糖とミルクはお好みでどうぞ」
「ありがとうございます」
「それにしても、小学校の時からいじめられてたなんて。相談してくれれば力になれたかもしれないのに…」
そう言った先生が自分でも淹れた紅茶を一口すすって、私も砂糖とミルクを一つずつ混ぜた紅茶のカップに口を付けた。