蜜色トライアングル【完】
「ね、木葉」
「なに?」
「今日、夕飯の予定は?」
「うーん、今日は各自バラバラかな。帰ったら適当に済ませるつもり」
「じゃあ、一緒にどこかで食べていかない? 奢るよ」
圭斗の誘いに、木葉は目を丸くした。
「えっ? ……そんな、悪いよ。この間も奢ってもらったし……」
「木葉はそんなこと気にしないでいいの。おれが行きたいんだから」
「で、でも……。じゃあ今日は、私が奢るよ」
「却下。……木葉、何が食べたい?」
さくっと言われ、木葉は思わず息を飲んだ。
やがて信号待ちで車が止まり、運転席の圭斗が木葉をじっと見つめる。
その瞳はいつもと同じ優しさを帯びているが、すこし強引な感じもする。
木葉はドキドキしながら口を開いた。
「え、えっと……中華とか?」
「了解。ウインドタワーの上に美味しい中華の店がある。そこにしよう」