蜜色トライアングル【完】



圭斗は軽く頷き、次の信号でウインカーを出して右に曲がった。

木葉の家に行く方向とは反対の方向だ。

ウインドタワーは海沿いにあるタワーで、最上階には展望台の他にレストランが数件入っている。

木葉はオープン当初に友達と行ったことはあるが、ここ数年は行っていない。

凛花の話では夜景がとてもきれいだと言っていた。

ということは、デートスポットなのだろう。


レストランで……夜景を見て……そのあとは……。


先ほど少し考えていたことが脳裏をよぎる。

が、木葉は心の中で自分自身に苦笑した。

まさか圭斗が自分をそんな対象にするわけない。

――――オトナの彼女もいるわけだし。


車は海に向かって走っていく。

夜の街を眺めながら、木葉はシートの揺れに身を任せていた。


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