蜜色トライアングル【完】
<side.圭斗>
腕の中にいた木葉の体が、大きく傾ぐ。
木葉の髪が圭斗の胸元に触れ、甘いシャンプーの香りがする。
圭斗は木葉を抱く腕にぐっと力を込めた。
木葉の紅く染まった頬が、潤んだ目が、圭斗の理性をあっという間に崩していく。
胸に込み上げる想いは止まらず、圭斗はそれに押されるように言い募った。
「……わかるだろ? 木葉のことだよ」
「…………」
「木葉のためなら何でもしてやる。だから……」
圭斗は木葉の頬に手を添え、顔を覗き込んだ。
その瞬間。
「………………」
圭斗の言葉が止まる。
木葉は圭斗の腕の中ですーっと気持ちよさそうに寝息をたてていた。
日々疲れていたところに酒が入り、気持ちよくて寝てしまったのだろう。
「……はは……」
一世一代の告白をスルーされ、圭斗は思わず苦笑した。
どうやらチャンスを逃したようだ。
木葉らしいと言えば木葉らしいが……。