蜜色トライアングル【完】



しかし我ながら『用意周到』が聞いて呆れる。

木葉を前にしたら準備や計画など何の役にも立たないのかもしれない。

圭斗もまさかこんな所で告白する気などなかった。

告白するなら木葉の気持ちが高まったところで、絶対に逃げられない状態にして、イエス以外の返事などできない状態にして告白しようと思っていた。

……それが、この様だ。


圭斗は木葉の背を抱え、起こさぬようゆっくりと抱き上げた。


「しかし……無防備だな……」


爆睡されるほど信頼されているというのも、嬉しい反面、男としては哀しい。

圭斗としてはこのままホテルに連れて行きたいところだが、まさかそんなことができるはずもない。

圭斗は車に戻り、木葉を助手席に横たえた。

そのまま運転席に乗り、エンジンをかけて木葉を起こさぬようゆっくりとアクセルを踏む。

黒いCZ-Rは夜景の光を反射しながら高速道路を走っていった。



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