蜜色トライアングル【完】
「誰と行ってたんだ? ……さっき車の音したよな?」
「由弦……」
「圭斗か? あいつと一緒だったのか?」
嘲笑うように由弦は唇を歪めた。
木葉は由弦の表情に、血の気が引いていくのを感じていた。
これまで、由弦が木葉に対してこんな表情を見せたことはない。
もちろん、こんな態度をとったこともない。
「あいつもやるよな。なんでもない顔して、保護者ヅラして……」
「……っ……」
「木葉、言ったよな? あいつと付き合ってないって……」
由弦はぎりっと唇をかみ、木葉を見据える。
悲鳴すら言葉にならず、木葉は由弦をただ見つめていた。
あまりの迫力に、目尻にじわりと生理的な涙がにじむ。
「付き合ってねぇなら、こんな時間まで一緒にいるんじゃねぇよ!」
「……由弦……」
「オレ、言ったよな。認めないって……」
言葉とともに、ふっと腕の囲いがとけた。
ほっとした木葉だったが、次の瞬間。