蜜色トライアングル【完】
「ゆっ……ゆづ……っ!」
由弦に引き寄せられ、正面から抱き締められる。
その腕は力強く、身動きひとつできない。
「木葉は渡さない……誰にも。オレのものだ。オレが守る」
「……っ」
「認めない。オレ以外の男となんて、絶対に……っ」
由弦は抱き締めたまま、うわごとのように木葉の耳元で囁く。
木葉の体からはかすかに柑橘系の香りが漂い、それに気づいた由弦はますます強く木葉を抱きしめる。
「由弦……くるしっ……」
木葉は苦しさにもがくが、由弦には聞こえない様子だ。
頭と腰を押さえ込まれているため、身動きが取れない。
「こんな香り……。消してやる、オレが……」
由弦は木葉を抱いたまま、無理やり自室に引き込もうとする。
このまま連れられて入ってしまったら、一体どうなるのか……。
よく分からないが、とんでもなく恐ろしい事態になりそうな気がする。