蜜色トライアングル【完】
「……」
その姿を見ていた冬青は訝しげに眉根を寄せた。
木葉に歩み寄り、その傍らに膝をつく。
いつでも冷静な、青みがかった瞳で木葉の顔をのぞきこむ。
「大丈夫か?」
「……」
「由弦、お前は部屋に入れ。今すぐにだ」
冬青の声に、由弦は無言で自分の部屋に入った。
パタンという音とともに扉が閉じられる。
木葉は俯いたままその音を聞いていた。
「立てるか?」
「……お兄ちゃん……」
「とりあえずリビングに行くぞ」
冬青は木葉の二の腕をつかみ、ゆっくりと立ち上がらせた。
そのまま木葉を引きずるようにリビングに向かう。
木葉は腕に兄の手の温かさを感じ、ほっと息をついた……。