蜜色トライアングル【完】
恐る恐る尋ねた木葉に、冬青は珍しくにこりと笑った。
完璧なまでに美しい笑顔だが、もともと整いすぎている顔に凄みが増し、見る者を凍りつかせるような迫力がある。
木葉はぞくりと背筋が強張るのを感じた。
「無理やりにでもわからせる」
「……」
予期した答えに、木葉はハハと内心乾いた笑いをもらした。
兄には確かにその力がある。
社会経験の面でも、知識でも、力でも……。
いつでも兄の判断は正しい。
何か問題があった時、兄は根本の部分から解決しようとする。
それは頼もしい反面、場合によっては危険でもある。
「お兄ちゃん、ありがとう。だけど……」
「……?」
「由弦まで、病院送りにしないでよ?」