蜜色トライアングル【完】
木葉の言葉に、冬青はふっと瞳を臥せた。
唇の端に笑みを乗せ、低い声で言う。
「……加減はする。だがあいつの態度次第だ」
木葉の表情がだいぶ戻ってきたのを見てとり、冬青は立ち上がった。
この時間でもワイシャツにベスト、スラックスという姿の兄は相当忙しいのだろう。
表情にもうっすらと疲れが見て取れる。
忙しい時間を縫って時間を割いてくれた兄に、木葉は感謝した。
「ありがとう、お兄ちゃん。……お仕事、がんばってね?」
「ああ。お前も今日は早く寝ろ」
言い、冬青は自室へと戻っていく。
木葉はその背を見送った後、自分の部屋へと向かった。