蜜色トライアングル【完】
「とにかく。お前はあまり気に病むな。……そうだな」
「?」
「GWの最後の土日に、どこか気晴らしに連れてってやる。希望はあるか?」
「本当? ……えっと、それじゃあ……」
木葉は運転席の兄の顔を見た。
冬青はいつもと変わらぬ表情でハンドルを握り続けている。
「高原に行きたい」
「高原?」
「湿原とか、牧場とか散策したいな」
普通木葉の年頃ならば、ショッピングモールに行きたいとか言うだろう。
しかし木葉はあまり買い物には興味がなく、それよりはビュースポットなどに行く方が好きだ。
冬青は少し笑った。