蜜色トライアングル【完】
「それでいいのか? アウトレットとかもあるが……」
「ショッピングは町でもできるしね。ここでしかできないことがしたいの」
木葉は窓の外に目をやり、緑の山々を見た。
――――自然の中で、自分も少し心を落ちつけたい。
「わかった。調べておく」
「ありがとう、お兄ちゃん」
「まだ一時間はかかる。向こうに着いたら忙しくなるだろう、少し寝ておけ」
「うん……」
車は山々を抜けてトンネルへと入っていく。
木葉は目の端にトンネルの橙色の灯りを映しながら、ゆっくりと目を閉じた。