蜜色トライアングル【完】
こんなことをしながらこんなことを考える自分は、相当壊れているのだろう。
由弦は目を瞑った。
あの時、抱き寄せた木葉の恐怖に歪んだ瞳が脳裏をよぎる。
――――あんな顔をさせたくはなかった。
あの時冬青が止めていなかったら、とんでもないことになっていただろう。
怒りと嫉妬に身を任せて、あのまま突き進んだら……取り返しのつかない事態になっていたに違いない。
由弦は遥の腰を引き寄せ、目を瞑ったまま動きを速めた。
遥が悲鳴に近い声を上げる。
忘我の表情で狂ったように腰を動かすその姿は、まさに『メス』だ。
「……も……やだっ……ァ……」
「イヤなの? じゃあ抜く?」
「い、イヤっ。……もっと……っ……」
その乱れ方、その声の出し方は、どう見ても初めてではない。
快楽を追うことを知っている、女の躰だ。
潤んだ部分はひくつき、由弦自身を暖かく締め付ける。
遥の体は何処に触れても柔らかく、剣道で引き締まった木葉の体とはまるで違う。
由弦は遥を冷めた目で見下ろした。
――――どこを取っても木葉と似ている部分など見つからない。