蜜色トライアングル【完】
「君のお兄さん。あれは、すごいね。ベテランの俳優陣が剣技の凄さに驚いてたよ」
「……ありがとうございます」
「それに、あのルックス。きみのお父さんは写真で見たことあるけど、息子があんな美形だとは想像もしてなかったよ」
「……あはは」
「君のお母さんは相当な美人だったんだろうね?」
武内に問われ、木葉は母の写真を思い出した。
写真に残った母の姿は可愛らしい顔立ちで、どちらかというと木葉に似ている。
そして父は丸顔で浅黒く、どちらもあまり冬青に似ている感じではない。
「母は幼い頃に亡くなったのであまり覚えてないのですが……。兄はたぶん突然変異だと思います」
「突然変異?」
「……としか考えられないです……」
――――ついでに言えば、由弦もだ。
木葉以外の二人はおそらく遠い先祖から隔世遺伝したか、突然変異なのだろう。
なぜ自分も突然変異しなかったのか……。
と、木葉が顔を上げた時。
「あら、礼司。こんなところでナンパ?」