蜜色トライアングル【完】



「圭ちゃん……!」

「良かった、間に合った」


圭斗は木葉の前で車を止め、運転席の窓を開けて微笑みかける。

木葉は笑顔を浮かべながらも、なぜここに圭斗が?と内心で首を傾げた。

圭斗はいつもの穏やかな笑顔で木葉を見る。


「武術指導は終わった?」

「うん。……あれ、凛花ちゃんは?」

「『礼サマが恋人といる姿なんて見たくないから行かない』……って言ってた」

「そ、そっか……」


木葉はハハと苦笑いした。

……であれば仕方ないだろう。

圭斗は運転席から木葉の顔を見上げ、続ける。


「で、これからどうするの?」

「これからペンションに向かうとこ。お兄ちゃんが予約してくれたの」

「デルタロッジだろ? 一緒に行こう」


言い、圭斗は助手席に乗るように合図した。

木葉は驚き眉を上げた。


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