蜜色トライアングル【完】
圭斗の言葉に、木葉はむっつりした顔で頷いた。
そんな木葉を圭斗の瞳が頭二つ分低い位置から見下ろす。
圭斗は眼鏡の奥の瞳を細め、苦笑した。
「どうしてなんだろうな。凛花の方が男受けしそうな顔なのに、どういうわけかお前の方がヘビーなのに巻き込まれる確率高いよな」
「……」
「待ち伏せやらつけ回しやら……。ストーカーも前にいたよな。由弦が警察に突き出したけど」
「……なんでなんだろ。隙があるのかな」
「隙、ねぇ……」
圭斗はまじまじと木葉を見る。
木葉ははぁと息をついた。
木葉は桐沢流剣術二段で護身術も師範級だ。
自分ではさほど隙があるとは思っていないのだが……。
ただ木葉の顔は年齢の割には童顔で、以前凛花に『二次元の世界にいそうな顔立ちよね』と言われたことがある。
凛花曰く、男は大きく分けてマザコンかロリコンかの二つのタイプに分かれるが、木葉の顔は後者のタイプの男にとって非常に魅力的に見えるらしい。
……と知ったところでどうすることもできないが。
うーんと考え込んだ木葉を見下ろし、圭斗は柔らかく笑った。