蜜色トライアングル【完】
「なんで知ってるの?」
「冬青に今日帰るのか聞いたら、明日高原に寄ってから帰ると連絡があった」
「……」
「武術指導で用意されたホテルは今朝までだろう? だから今夜はどこかに泊まるのかと思って」
「……」
「で、この辺りの宿に一軒ずつ確認していたら、木葉達が泊まるペンションがわかったというわけ」
「なるほど……」
GWは病院も休みだ。
休みで暇だったのだろうか?
と唖然とする木葉に、ついでに自分の分も予約しといたよと圭斗はさらっと続ける。
「というわけだから。乗って?」
「ありがと、圭ちゃん」
木葉は言われるまま助手席に乗り込み、シートベルトを引いた。
微かなエンジン音とともにCZ-Rが走り出す。
木葉は携帯を取り出し、冬青に先に行く旨をメールで送った。