蜜色トライアングル【完】

2.ダブルベッド?




木葉は自分の荷物を抱え、案内された客室に入った。

木葉の部屋は二階の角部屋で、ドアの上には『さつき』と書かれたプレートが貼られている。

ちなみに二つ隣の圭斗の部屋の名前は『ききょう』。

カントリー風なのに部屋の名前が和風なのはなぜだろう。


木葉はガチャっと部屋の鍵を開け、中に入った。

部屋の中は8畳ほどで、出窓には緑色のカーテン、その前に置かれた長椅子には赤いテディベアの柄のクッションが二つ。

入り口のドアの近くに置かれたローボードは重厚なマホガニーでできており、その上には濃紺の布が敷かれ、木でできた小物入れが置かれている。

まさにカントリーという雰囲気の部屋だ。


……が。


「……なんで?」


木葉は思わず呆然と呟いた。

壁際に大きなベッドが鎮座している。

ダブル……いや、クィーンだろうか?

部屋の中を見回してもベッドはこれ以外にない。

さすがに兄妹と言えど、ひとつのベッドで寝るのは普通ではない。


「……」
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