蜜色トライアングル【完】
3.圭斗の心配
木葉は浴室に向かい、脱衣所に入った。
どうやら木葉の他に二人、先客がいるらしい。
浴場の中から若い女性の声がする。
『ねぇねえ、見た? さっき談話室にいた人!』
『見た! 超カッコ良かったよね~。ちょっとピ・ヨンジュンに似てない?』
『あ、わかる~! ヨン様をもうちょっと若くして、インテリさとワイルドさを足した感じ?』
どんな感じだか想像がつかないが、恐らく圭斗のことだろう。
どうやら圭斗はピ・ヨンジュンとやらに似ているらしい。
木葉は海外ドラマをあまり見ないので、よくはわからないが……。
『でも一緒に女の子いたよね~』
『あー。なんかコドモって感じの子だったけど。服もジーパンにTシャツだったし。色気も何もないようなー』
『妹かな?』
『そうじゃない? 恋人って感じじゃなかったよねー』
木葉はガクリと肩を落とした。
ジーパンにTシャツだったのは武術指導をしていたからだ。
普段はもう少し、スカートやフリルの付いたカットソーなどを着ているのだが……。
やはり、自分と圭斗が並ぶと恋人同士には見えないらしい。
他人から見てもそうなのであれば、圭斗から見ても自分は子供なのだろう。