蜜色トライアングル【完】
木葉が言うと、圭斗は雑誌を置いて立ち上がった。
『おいで』と木葉に手招きし、二階へと向かう。
「圭ちゃん?」
「確か、荷物の中にあったはず……」
圭斗に連れられ、木葉は圭斗の部屋に入った。
圭斗はベッド脇に置いた荷物を何やらガサガサしたあと、手のひらサイズのドライヤーを取り出した。
「あった」
「……圭ちゃん、準備いいね~」
「医者ってわりと研修とか出張とか多いからね。使いそうなものは普段からまとめてあるんだ」
「へぇ……」
「今回は急いでいたから、とっさに全部持ってきちゃったけど……入ってて良かったよ」
圭斗はにこりと笑い、ドライヤーを片手に木葉に向き直った。
そのまま木葉の肩を軽く押し、ベッドの端へと座らせる。
驚く木葉の前で、圭斗はドライヤーのコンセントを差して木葉の横に座った。
「乾かしてあげるよ」
「えっ……いいよ、自分で……」
と言いかけたとき、圭斗がドライヤーのスイッチを入れた。
温風が木葉の顔を直撃する。