蜜色トライアングル【完】
<side.圭斗>
圭斗はドライヤーを当てながら木葉の髪を梳いていた。
圭斗の手の動きに従順な彼女は、まるで人形のようだ。
信頼されているということなのだろうが……。
個室に男と二人きりという状況に全く疑問を感じない木葉に、多少心配になる。
そういえば木葉と冬青は、同室なのだろうか?
兄妹と言えど、さすがに冬青も同じ部屋にはしないだろう。
そのあたりの分別はついているはずだ。
「…………」
考えると心配になってくる。
後で木葉に確認してみようと思った、その時。
木葉の頭がぐらっと前のめりに傾いだ。
どうやらうとうとしていたらしい。
圭斗はとっさに肩で抱き止めた。