蜜色トライアングル【完】



木葉の髪から、風呂上がりのシャンプーの匂いが立ち上る。

Tシャツの首筋からのぞく肌は湯上りでうっすらと上気し、かすかに開いた唇が色っぽい。


――――個室のベッドの上、しかもお互い湯上りという状況。

こんな状況で何も感じないほど圭斗は木石ではない。

圭斗はそのまま抱き寄せたい気持ちを必死で抑え、ぐっと木葉の肩を掴んだ。

その拍子にかくん、と木葉の頭が後ろにのけぞる。

圭斗はそれを木葉の頭を慌てて手で支えた。


「ほら、起きて?」

「……あ、ごめん……」

「木葉、ここで寝ちゃダメだよ。寝たら襲うよ?」

「……へ?」


木葉は茫洋と圭斗を見る。

そんな表情も心臓を掴まれそうなほどに愛らしい。

……木葉に信頼されている自分が憎らしくすら感じる。

圭斗は内心ため息をつき、木葉の髪をガシガシっと混ぜた。


「……わ、わわっ」

「ほら、起きて。寝たら夕飯食べれなくなるよ?」

「……それはやだ」


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