蜜色トライアングル【完】
圭斗の言葉に、木葉は数日前に見た光景を思い出した。
冬青と馨が談話している姿を……。
……ひょっとして。
「……」
いやいや、あの兄に限ってそんなに手が早くは……。
とは思うが、冬青はたまに思いもかけないことをする。
案外、女性に関しては電光石火なのかもしれない。
まるで想像がつかないが。
と悶々と考えていると、向かいに座った圭斗がくすりと笑った。
「どうしたの、百面相して」
「あ……」
「コーヒーのおかわり、どう?」
圭斗は木葉のカップを指差し、尋ねる。
コーヒーはセルフサービスで夕食後は自由に飲むことができる。
見ると、木葉のカップにはもうほとんど残っていなかった。
「そうだね、取りに……」
と言いかけた時。
浴室にいた女性二人組が、カップを片手に木葉達のテーブルに近づいてきた。