蜜色トライアングル【完】
「えっと……お連れ様は、もういらしてますね。2階の奥、『さつき』という部屋です」
言い、カウンターの下から鍵を出して冬青に渡す。
主人は上目遣いで冬青を見た。
「あの、申し訳ないのですが、先にお風呂を済ませて頂いても良いですか?」
「?」
「実はうちの浴場は23時までで、そのあとは清掃時間になっておりまして。男湯の方をそのままにしてありますから……」
「なるほど」
冬青が風呂を済ませないと掃除ができない、ということらしい。
冬青は頷き、その足で浴場へと向かった。