蜜色トライアングル【完】



冬青の髪がくすぐったいのだろうか、木葉は可愛らしい声をもらし、仰け反った。

その声が冬青の体を一瞬で燃え立たせた。

冬青は木葉の首筋に口づけながら、パジャマのボタンに手をかけた。


「……っ……」


その瞬間。

冬青はボタンの固い感触にはっと我に返った。


――――汚してはならない、白い肌。


冬青はベッドから離れ、木葉にバサッと布団をかけた。

頭から布団をかぶった木葉はしばらく息苦しそうにもがいていたが、やがて布団から顔を出すとすーっと寝息を立て始めた。

それを見届けた後、冬青はふらりと壁に寄った。


「危なかった……」


壁にもたれ、そのままずるっと床に座る。

冬青は大きく息をつき、片膝をたてて額を押し付けた。

――――何の拷問だ、これは。


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