蜜色トライアングル【完】
『木葉が宿で待ってますので』
『あら……。そうなの?』
馨は妖艶な笑顔でずいっと冬青に近づいてくる。
冬青は無表情で馨を見据えた。
『何か話でも?』
『んー……ちょっとね、気になって』
馨は冬青に近づくと、周りに聞こえないように、口元に唇を寄せた。
『あなたたち。――――でしょ?』
馨の言葉に冬青はびくっと背を固くした。
それを見た馨は、図星ねと言いたげな顔をする。
『あの子は気付いてないみたいだけれど。でも少なくともあなたは知った上で接している。そう見えるわ』
『……』
『あなたのあの子を見る目。……妹を見る目じゃないわね?』
『……』
『同じだから、わかるのよ。……心配しないで。あの子には言わないわ』