蜜色トライアングル【完】
冬青はすぅと眠り続けている。
普段は冷たさを感じるほどの怜悧な美貌に、どことなく柔らかさが加わる。
じっと見ていても飽きないほど美しく――――どこか崇高な感じすらする。
少し近づくと、甘いサンダルウッドの香りがかすかに鼻をかすめた。
兄が好むコロンの香りだ。
「お兄ちゃん……」
やはり、自分と兄妹だとは思えない。
突然変異といっても限度があるはずだ。
木葉はじっと冬青を見つめていた。
と、その瞳がゆっくりと開く。
「……木葉?」
冬青は茫洋とした瞳で木葉を見る。
まだ半分、夢の中らしい。