蜜色トライアングル【完】

2.疑惑




木葉はそれ以上何も言うつもりはなかったが、圭斗は目ざとく木葉の首筋に赤いものを見つけた。


「木葉。……なに、その首筋?」

「え?」


木葉は驚いた声を上げた。

首筋、って……。

木葉の首元を見ていた圭斗の目がみるみるうちに険しくなる。


「……ねぇ、木葉」


心なしか、いつもより圭斗の声は低い。

木葉は首を傾げた。


「ん?」

「冬青と何かあった?」


問いかける圭斗の声は固く、表情も険しい。

木葉は圭斗の様子が突然変わったことに驚き、目を見開いた。


「なにもないけど。なんで?」

「……」

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