蜜色トライアングル【完】




<side.圭斗>



木葉はとんとんと軽い足取りで木道を歩いていく。

その後ろを歩きながら、圭斗は腕を組み考え込んでいた。


木葉の首筋にあった、あれは……。

虫刺されでもなければ、かぶれでもない。

どこからどう見ても鬱血――――キスマークだ。


木葉の話からすると、あれをつけたのは冬青しかいない。

由弦にだけ気を付けていれば良いと思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。

思いもかけないダークホースの出現だ。


「まさか、な……」


冬青からはそんな気配は一切感じなかった。

由弦に気を取られ、見えていなかっただけなのかもしれない。

埃が日に当たると見えるように……。

実はそこにあったのに、気づいていなかっただけかもしれない。


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