蜜色トライアングル【完】
「悪いが、木葉を家まで乗せていってくれないか」
「それはかまわないが……。何かあったのか?」
「さっき連絡があった。これから事務所に行かなければならない」
ここまで木葉は冬青が運転するジエンタの助手席に乗っていた。
が、兄はこれから仕事らしい。
GW明けというと、3月決算の会社はそろそろ決算発表をする時期である。
経理担当や会計士が一年で一番忙しくなる時期だ。
冬青もGW前までずっと深夜まで仕事をしていた。
恐らく今夜も遅くなるのだろう。
圭斗は軽く頷いた。
「わかった。木葉はおれが責任もって家まで送る。お前も気を付けて行けよ?」
「ああ」
冬青は言い、缶コーヒーを片手にジエンタへと向かった。
木葉と圭斗はそれを見送った後、CZ-Rに乗り、都内方面へと出発した。