蜜色トライアングル【完】
圭斗は綺麗な箸さばきで大根を口元へと運ぶ。
美味しいレストランをいろいろ知っている圭斗にしてみれば、木葉の料理などままごとレベルなのかもしれない。
それでも、こうして美味しそうに食べてくれる。
木葉は圭斗の優しさを嬉しいと思った。
「本当に優しいね、圭ちゃんは」
「ん?」
「私、圭ちゃんの妹になりたかったなぁ」
木葉の言葉に圭斗は思わず箸を止めた。
何とも言えない目を向ける圭斗に、木葉はくすっと笑った。
「凛花ちゃんがうらやましいよ。こんなに優しいお兄ちゃんがいて」
「……」
「うちのお兄ちゃんも優しくないわけじゃないけどね。……ああでも、圭ちゃんがお兄ちゃんだと、兄離れできなくなりそうで困るかな?」