蜜色トライアングル【完】
由弦の目に木葉の首元が映る。
街灯の灯りで、はっきりとは見えないが……あれは。
――――キスマークだ。
見た瞬間、由弦は体中の血が逆流するような気がした。
今、二人はペンションがどうのと言っていたような気がする。
ペンションに二人で泊まり、キスマーク……。
意味するところはひとつしかない。
「……っ!!」
由弦は叫びそうになる口元に手を当て、一歩後ずさった。
聞きたくない。
――――考えたくない。
由弦は踵を返し、駅の方へと歩き出した。
どうにもならない衝動が体中を駆け巡る。
「……くそっ!!」