蜜色トライアングル【完】
5.大人の嗜好
一週間後の水曜。
午前の診療の後、木葉は凛花とともに買い物に来ていた。
駅ビルの中にあるランジェリーショップ。
あまり広くはないが、流行の下着が数多く置いてある。
「まさか、木葉が下着に興味持つなんてね……」
意味深な表情で凛花は木葉を見る。
その手には黄色い花柄のブラやケミカルレースのショーツを持っている。
木葉のためにセレクトしてくれたものだ。
「下着に興味を持ったきっかけは何だったのか、気になるわ―」
「……」
「そういえぱこの間の土曜、圭兄とペンション行ったよね。……まさか?」
くすっと笑い、凛花は木葉の顔を覗き込む。
木葉は軽く首を振った。
「違うよ。ペンションはお兄ちゃんが予約してくれて、圭ちゃんとは現地で合流したの」
「なんだ、冬青も一緒だったの? じゃあその展開はナイか」
つまらなそうに凛花は肩を落とす。
どうやら何かを期待されていたらしい。
木葉は苦笑した。