蜜色トライアングル【完】
「そういえば凛花ちゃん、菅波ってお医者さんと、昔付き合ってたの?」
「菅波? ……あー、2年ぐらい前に付き合ってたわね。圭兄の同期の人」
凛花は木葉の言葉に首を傾げた。
「て、なんでそんなこと知ってるの?」
「圭ちゃんと一緒にお父さんのお見舞いに行ったら、そこで会ったの」
菅波は軽そうではあったが、良い人そうに見えた。
なぜ別れたのか気になる。
木葉がちらっと凛花を見ると、凛花は肩をすくめた。
「そういえば桜庭病院に行くって言ってたような気もするわ。そっか、今はあそこにいるのね」
「ねぇ凛花ちゃん、聞いてもいい?」
「なぁに?」
「なぜ菅波さんと別れちゃったの?」
聞いてもいいのか迷ったが、凛花は断るときははっきり断る。
そして過去のことにはあまり執着しない性質だ。
木葉の質問に、凛花はあははと笑った。