蜜色トライアングル【完】
「……知らなかった。お兄ちゃんや由弦も何も言ってなかったし……」
「いくら兄弟でもそんなの言うわけないわよ。私も圭兄の趣味とか知らないもん。……でもまぁ、こういうのはあまり好まないような気がするけどね」
凛花は際どいことをさらりと言い、あははと笑う。
木葉はぴしりと固まった。
衝撃的すぎて理解不能だ。
「木葉、色気出すのもいいけど、相手は慎重に選びなさいね?」
「……は、はあ」
「あんまり変な嗜好持ったヤツだと、大変よ~」
「……」
「あとね、あたしが言うのもなんだけど。普通が一番よ。男はフツーの人が一番いいわ」
凛花はやたら力を込めて言う。
男性経験の多い凛花の言うことは重みがある。
木葉は瞬きしながら聞いていた。
「あんたはまだわからないかもしれないけど。圭兄にしても冬青にしても由弦にしても、――――普通じゃないわ」
「……え?」
「容姿的なところじゃなくて、考え方や性格がね。こんなに極端な人間がよくもまあ集まったと思うわよ。あたしにはムリ。手に負えないわ」