蜜色トライアングル【完】
七章
1.衝撃
数日後。
午前の診療事務を終えた木葉は、スーパーの袋を抱えて街角のカフェに入っていた。
午後の剣術教室まであと一時間ある。
ここで時間をつぶして家に戻ろう。
と思い、コーヒーを片手に店に置いてあった雑誌をパラパラとめくっていたら、あるページに目が留まった。
『華流スターにして実業家・李浩南(レイ・ホーナン) 30ページ特集!!』
雑誌なのに30ページの特集って……。
どうやら今はやりの『華流スター』の一人のようだ。
木葉はあまり詳しくは知らないが。
30ページもあるなら別の冊子にでもした方が良いのでは?と思いつつページをめくった、その瞬間。
木葉は、固まった。
「……なに、これ?」
そこに写っていたのは30代前半ぐらいの青年だった。
甘い目元にきりっとした口元。
髪は黒く、バランスのよい体つきをしている。
確かにカッコいい。
しかし。