蜜色トライアングル【完】

2.思い出した真実




――――幼稚園の頃。


ある日の午後。

木葉と由弦は神社に遊びに来ていた。

その頃はまだ井戸に金網がかかっておらず、木葉と由弦は背伸びして中を覗き込んでいた。


『あぶないよぅ』


まだ幼い由弦がカタコトの言葉で言う。

木葉は笑いながら、背伸びをして井戸を覗き込んだ。


『どのくらい深いのかな?』


木葉は興味本位で身を乗り出した。

由弦が心配そうに木葉の服の裾を掴む。

と、そのとき。

ずるっと木葉の靴が滑った。


『わぁぁぁっ!!』


木葉は頭から真っ逆さまに井戸に落ちた。

バシャッという水音が辺りに響く。

木葉は何とか頭を出したが、井戸の縁は遥か上で手が届かない。


『おっ、おねーちゃん!!』

『ゆづるーっ!!』

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