蜜色トライアングル【完】
『圭斗ーっ! 木葉ちゃーん!!』
『お母さん!』
圭斗はその姿を見、驚いたように立ち上がった。
その女性、昭子は肩を上下させながら子供たちを見た。
『なっ……木葉ちゃん、ずぶ濡れじゃないの!!』
『昭子おばさん……』
『あなたたち、何やってるの!? 木葉ちゃんを、こんな目に……っ』
昭子はキッと冬青と由弦を睨んだ。
その眼光に木葉は息を飲んだ。
『木葉ちゃん。だめよ、こんな子たちと遊んじゃ』
『…………』
『この子たちは、木葉ちゃんの本当の兄弟じゃないのよ』
その言葉に、木葉は胸が引き裂かれるような気がした。
――――知っていた。
そう、自分は知っていたのだ。
冬青と由弦は、本当の兄弟ではないということを。