蜜色トライアングル【完】

3.相談




二時間後。


木葉はインペリアルタワー・ホテルのロビーにいた。

インペリアルタワーは渋谷からタクシーで10分ほどのところにある、会議施設やホテルなどが入っている高層ビルだ。

1Fから20Fはオフィスとなっているため、ホテルのロビーは21Fとなっている。

窓の外には渋谷・新宿の美しい夜景が広がっている。


木葉は腕時計を見た。

20:00。

そろそろ馨と約束した時間だ。


「あ……」


やがて衣擦れの音と共にカツカツとヒールの音がフロアに響いた。

黒いロングコートに、ブルーの絹のドレス。

黒く艶やかな髪は背に流され、黒いサングラスをかけている。

サングラスをしていてもその美貌ははっきりとわかる。


「久しぶりね、木葉ちゃん。あなたから連絡貰えるなんて、嬉しいわ」


馨はにっこり笑い、サングラスを外した。

平日の20時なのでロビーにはあまり人がいない。


< 212 / 222 >

この作品をシェア

pagetop