蜜色トライアングル【完】
3.相談
二時間後。
木葉はインペリアルタワー・ホテルのロビーにいた。
インペリアルタワーは渋谷からタクシーで10分ほどのところにある、会議施設やホテルなどが入っている高層ビルだ。
1Fから20Fはオフィスとなっているため、ホテルのロビーは21Fとなっている。
窓の外には渋谷・新宿の美しい夜景が広がっている。
木葉は腕時計を見た。
20:00。
そろそろ馨と約束した時間だ。
「あ……」
やがて衣擦れの音と共にカツカツとヒールの音がフロアに響いた。
黒いロングコートに、ブルーの絹のドレス。
黒く艶やかな髪は背に流され、黒いサングラスをかけている。
サングラスをしていてもその美貌ははっきりとわかる。
「久しぶりね、木葉ちゃん。あなたから連絡貰えるなんて、嬉しいわ」
馨はにっこり笑い、サングラスを外した。
平日の20時なのでロビーにはあまり人がいない。