蜜色トライアングル【完】
42階。
高層階の角部屋に、馨は木葉を招き入れた。
「ここ、私が都内にいるときによく使う部屋なの」
馨はコートを脱ぎ、椅子の背にかけた。
コートを脱ぐとその華奢さが目立つ。
モデル出身なだけあって背は木葉より高いが、体はとてもスレンダーだ。
窓の外には、ロビーで見た時よりさらに美しい夜景が広がっている。
馨は木葉を部屋に案内すると、ベッドの端に座らせた。
ベッドはとても広く――――恐らくキングサイズだろう。
3人ぐらい寝ても大丈夫そうな広さだ。
「木葉ちゃんもコート脱いで? ……何も遠慮することないわ、女同士ですもの」
「……」
「ここなら私とあなた以外、誰もいないわ。ゆっくり話せるでしょ?」
艶やかな笑みを浮かべ、馨は言う。
木葉はこくんと頷き、俯いたままコートを脱いだ。
コートの下には白いブラウスと茶色のプリーツスカートを身に着けている。
その姿を見、馨は目を細めた。
その目が舐めるように木葉を見ていることに、木葉は気付いていない。