蜜色トライアングル【完】
「喉乾いたでしょ? これでも飲んでリラックスして?」
馨は冷蔵庫から赤ワインを取り出し、グラスに注いだ。
血のような赤い色がグラスの中でとろりと揺れる。
「これ、赤ワインの中でも豊潤で甘い方なの。疲れがとれると思うわ」
「ありがとうございます……」
木葉は受け取り、ワインを一口飲んだ。
ふくよかな甘い香りが口いっぱいに広がる。
木葉はあまりワインは得意ではないが、これはとても飲みやすい。
「……」
木葉は一口、また一口とワインを飲んだ。
多少、酒に酔った方が話しやすくなるかもしれない……。
いつしか馨は木葉の隣に腰かけ、木葉の瞳を覗き込んでいる。
その瞳は優しげで、とても艶やかだ。
「……ねぇ、木葉ちゃん?」
「……」
「良ければ教えてくれるかしら? ……一体何があったのか」
その優しい瞳に、木葉の心が揺れる。
木葉は酒が回ってくるのを感じながら、ゆっくりと口を開いた……。