蜜色トライアングル【完】
「なるほどね……」
一通りの話を聞き終え、馨はふぅと息をついた。
いつのまにかその腕は木葉の肩を抱いている。
「辛かったわね、木葉ちゃん……」
「……」
「兄弟だってずっと信じてたのに、……違ったなんて、ね……」
馨の紅い唇が至近距離で囁く。
木葉は朦朧とした頭で馨を見た。
酒のせいだろうか。
なぜかとても体が熱い。
頭に靄がかかったかのように、馨の顔がぼんやりと見える。
「でもね、木葉ちゃん。……実は私、知っていたのよ」
「……え?」
「長野でね。冬青さんとその話をしたわ」
馨の言葉に木葉は息をのんだ。
が、言葉が続かない。
何か言おうと思っても頭が働かない。
体は火照り、腕も足もじんじんする。
――――なんだろう、これは?
お酒を飲んだせいだろうか?