蜜色トライアングル【完】
4.運命のメール
電子音はひたすら鳴り続ける。
意識をそがれ、馨は一旦木葉から身を離した。
木葉のバッグに入っていた携帯を取り出し、開く。
開いたところで電子音は止まった。
が、着信履歴が画面に表示されている。
しばし後、ピピッという音とともにショートメールが入った。
「……あら……?」
見ると、その人物から何件もメールや不在着信が入っていた。
どうやら木葉は気付いていなかったらしい。
馨は木葉を振り返った。
木葉はベッドの上で辛そうに身をよじらせている。
「……」
木葉は身をよじらせながら、ただ一人の名前を何度も呼んでいる。
微かな声で、うわごとのように……。
その名前が着信履歴の名前と同じことに気づき、馨は眉根を寄せた。
「木葉ちゃん、あなた……」