蜜色トライアングル【完】
やがて由弦は説明を終えると厨房へと戻っていった。
その背を凛花がほぅといったように眺める。
「……慣れたもんね、あんたの弟も」
「そうだね。由弦目当てで来る人も多いみたい」
「そりゃそうでしょ~。あのルックスだもの。由弦がここに来ると女の目線が痛いったらないわ」
あははと笑い、凛花は卵焼きに手を伸ばした。
木葉も卵焼きを取り、皿に載せた。
大根おろしと一緒に口に入れると、卵の甘さとだしの香りが際立つ。
木葉は運ばれてくる料理に舌鼓を打ちながら、角倉兄妹と他愛のない会話を楽しんだ。