蜜色トライアングル【完】
緊迫した空気が辺りに満ちる。
固唾を飲んで見守る木葉の横で、由弦がチッと舌打ちした。
「うるさい奴らだな……。木葉、ここで待ってて?」
「えっ、由弦!?」
由弦は素早く二人に近づくと二人の間に割って入った。
突然の闖入者に男が気色ばむ。
「なんだ、てめぇ?」
「こんなところで騒がれると近所迷惑なんだけど? やるなら、河川敷にでも行ってくんない?」
冷めた瞳で見下ろす由弦の容貌に男は一瞬ひるみ、息を飲んだ。
が、すぐに気を取り直して由弦を睨み上げる。
「てめぇには関係ないだろ。どけ!」
「どいてもいいけどね。この女の人をどうするつもり?」
「だからてめぇには関係ないだろ!!」
男は叫び、由弦に向かって掴みかかった。
由弦はそれをひらりと交わし、男の足を軽くひっかける。
男は勢いのまま顔から地面に突っ込んだ。