蜜色トライアングル【完】
3.兄と元カレ
昼食の後、木葉は一足早く道場に入った。
倉庫からモップを出し、床にモップをかけ始める。
午後の教室が始まる前に掃除を終わらせなければならない。
5分ほど経った時、入り口の扉がガラッと開いた。
戸口には冬青が立っている。
「あ、お兄ちゃん」
「悪い、遅れた。竹刀の整備は終わったか?」
「まだだよ」
「じゃあ俺がそっちはやる」
冬青はスタスタと倉庫に入り、竹刀が入った籠を道場へと持ち出した。
そのまま床に座り、竹刀を一本ずつ拭きはじめる。
拭きながら、一本ずつ状態をチェックしていく。
その表情は真剣そのものだ。