蜜色トライアングル【完】
木葉が家に飛び込むと、二階に上がる階段の下で父の清二が倒れていた。
その横では、由弦が真っ青な顔で父の顔を覗き込んでいる。
「親父、おいっ、大丈夫かっ!?」
「……ぐっ……」
父の顔には脂汗が浮かんでいる。
どうやら階段から転がり落ちたらしい。
父にしては珍しい。
午前の剣術教室で、足腰が疲れていたのだろうか?
「木葉、救急車を呼んでくれ!」
「わかった!」
木葉は懐から携帯を取り出し、慌てて電話した。
数分後。
救急車が家の前に到着し、隊員が父を担架に載せて運んでいく。
「親父にはオレが付き添う。木葉は兄貴に連絡してくれ」
「うん、わかった」
父と由弦が乗った救急車が、けたたましい音を立てて病院へと走っていく。
それを見送った後、木葉は急いで兄の元へと向かった。