蜜色トライアングル【完】
冬青の言葉に、清二は静かに振り返った。
その目には穏やかな優しい笑みがある。
……昔から変わらない、見守るような父の瞳。
心を見透かすような笑みに、冬青は何も言えず固まった。
「由弦か。あれはわかりやすいな。さすがの木葉もいずれは気付くだろう」
「……」
「お前が木葉を守りたいという気持ちはわかる。だが木葉もいつまでもあのままというわけにはいかない」
「…………」
「遅かれ早かれ、思い出すだろう。そうなったとき、お前はどうする?」
清二はじっと冬青を見つめる。
その瞳に冬青は悟った。
父は気付いていたのだ。
――――心の底に押し込めた想い。