蜜色トライアングル【完】



どんなわずかな亀裂からでも出てくることのないように、固く封印した想い。

冬青は唇をかみしめ、呻くように言った。


「俺は……今と変わらず、道場を……家族を、守っていくだけだ」

「……それが本当にお前の望みか?」

「ああ。……それが、俺の望みだ」


清二は何か言いたげに冬青をじっと見つめた後、かすかに苦笑してふっと目を瞑った。

――――冬青の心など全て見通しているかのような、その微笑み。

冬青は清二を見つめながら、自分の心の奥底が軋みだすのを感じていた……。



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